" こいつは自分の可愛らしい表情を知っているのだ。どうすれば可愛らしく見えるあ知っているのだ。
俺も自分がどういう表情をすれば可愛らしく見えるか知っていた。
しかし、俺の可愛らしい自己イメージと、実際に他人から見たときの俺の可愛らしい表情の間にかなりの開きがあるらしいということに気付いたのだ。つまり、俺が可愛らしく見えているだろうと思ってしていた表情が実は他人にとっては気持が悪いだけの表情であったことが発覚したのである。
例えば、女子に、女子とそういう接触をした最後はもう何10年前だろうか、俺は女子とそういう接触を随分していない。きっと人生の半分くらいは女子とのそういう接触なしに生きているのだ。そういう接触というのは、物理的な接触ばかりでなく心理的なものも含んでのことだから、相当だ。で、なんのことを考えていたんだっけ?そうそう、女子とそういう接触をする時に、例えば、女子に触れた時とか、急にキスした時とかに、ふと女子が「ダメ」みたいな拒絶的な恥じらいの態度をとったとする。そういう時、俺は可愛らしい表情を作っておどけて見せたりしていたわけだが、それが、自己イメージの中だけのことで、女子的には「なんて気持ち悪いんだろう」と感じていたとすると自殺したくなる。"
前田司郎『逆に14歳』
@1 year ago with 13 notes