" 切り離されたトカゲの尻尾は果たしてトカゲなのか?俺の過去は俺の一部であったはずだ。しかし過去は過去になった時点で本当は俺から切り離されている。俺の過去。こういう中途半端なもののことを中間的自己と確か呼んだと思う。排泄物なんかもそうだ。
俺の身に起きたはずの過去は、いつのまにか俺の体験という血肉の通ったものから、まるで文章化されたみたいに、写真に撮られたように、化石になったように、物事になっていった。変質をきたしたのだ。
それは全く排泄物だ。排泄物は排泄されるまでは俺の一部だ。排泄されれば排泄物であって俺じゃない。つまり過去は排泄物か?記憶は排泄物か?まだ頭の中にあるこの記憶は排泄される前の排泄物なのか。"
前田司郎『逆に14歳』
@2 years ago