" 彼女たちから目を逸らそうと努力したのは、彼女たちに腹を立てている人たちの苛立ちを感じたくなかったためだ。それが自分に向けられたものでなくても、人の苛立ちを見ると、体の奥がぎゅう、と縮こまるような感覚を覚える。そして、苛立たれている当人、ほとんどの場合彼らはそんなことに頓着していないのだが、彼らを恨めしく思う。どうしてあなたたちに向けられた苛立ちや非難を私が感じて、気詰まりな思いをしなければならないのか。そんなこと、頼まれたことではない、そうだ。自分が勝手に居心地の悪い思いをしているだけ、分かっているが、恨めしくて、そして、羨ましくて、仕方がない。"
西加奈子『うつくしい人』
@2 years ago with 15 notes